INEOS推し選手紹介その2

前回の記事は朝5時に書き始め、収拾がつかなくなってしまったため、中途半端なところで終わってしまった。しかし、INEOSファンの僕としてはまだ紹介したりない選手がやまほどいるので、それを今回は紹介したい。

 

1.Dylan van Baarle

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殺し屋のような冷徹な顔のもと、淡々とチームのために仕事をする職人。クラシックではクヴィアトコウスキーと共にエースとして振る舞うこともあるが、本領発揮をするのはアシストとしてこそだと思っている。元々平坦系の選手ながら近年は山岳でも中盤まで仕事をする実力を見せるINEOS好みの選手である。上の写真はエースフルームが離脱して自由を得るや否やステージ優勝を果たした瞬間のもの。最近はチームでクラシック班が着々と強化されており、体格をより山岳アシスト向きにしていくのも面白いのではないだろうか。今年のツールに出場するのはすこし難しいかもしれないが、是非頑張ってほしい一人だ。

 

2.Jhonatan Narvaez

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 INEOSにも一定数いる、結局この若手誰なんだよ枠だった。去年までは。カラパスのトレーニング相手だというこの選手もクライマーなのは間違いないのだろうが、レース数も、リザルトもほとんどなく、脚質がわからなかった。最初の大きなリザルトは、コッパバルタリでのステージ1勝含む総合優勝だろう。激坂スプリントで2位、スプリントで、1位、3位と立て続けに上位入賞をし優勝した彼はパンチャー、スプリンター系なのか?しかし出身地からしてクライマーなのでは?と思っていた。その直後に出場したジロではトーマス離脱後に逃げからステージ優勝をし、独走力が十分高いことも示した。

 

今シーズンはもっと大きなことを成し遂げるかもしれない。最初に見せたのは20%前後の激坂フィニッシュのスプリントでの3位入賞。トーマス、ゲーガンハートというグランツール覇者2人のアシストを受けて発射されたのが彼なのだから、チームからの期待、信頼も厚いのだろう。さらにはオープニングウィークエンドでマチューのアタックに一人だけついていき、前にいる逃げ集団とのタイム差3分を2人で詰め寄った。さらに80キロに渡ってローテーションを回し、最後まで逃げ切りを目指した。最後には集団に吸収されてしまったが、ナルバエスが逃げたお陰でローテーションに加わらずに済んだピドコックがスプリントで3位となり、表彰台に乗ることを助けた。

 

激坂や石畳に強い、スプリント力と独走力のあるクライマーというような選手なのだと思う。アラフィリップのような脚質だろうか。今年はINEOSがクラシックにもかなり注力しているし、ビッグタイトルをとってもおかしくないと思っている。

 

3.Richie Porte

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初代フルームの右腕である。今年から古巣のINEOSに帰ってアシストとしての役目をはたしてくれるだろう。フルームの右腕としてツールの優勝メンバーになること3回。その後はエースとして走ることを求め移籍し、昨年ついにツールで総合表彰台に上がることが出来た。それまでも1週間程度のステージレースではダウンアンダーやパリニースなど、圧倒的な実力を示していながら不運に見舞われていたが、ついに風向きが変わったようだ。今年は心機一転、最強のアシストとして最後までトーマスをサポートするだろう。

 

そんなリッチーの最大の特徴は誰もを引きちぎるダンシングだ。これでダウンアンダーの名物峠、ウィランガヒルを驚異の6連覇している。今年もオーストラリアナショナルチームとして参戦し、チームメイトのルークプラップを従えながら王者の凱旋を果たした。 

 

 個人的には仕事を終えた後、フルームの横で走ってるシーンを見ることが出来たら嬉しい。そんなシーンフルームには要らないのだけど。

 

4.Carlos Rodriguez

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こちらも誰なんだよ枠だった一人である。大学在学中ながらU23カテゴリをすっ飛ばして獲得したのだから超期待の若手であることは間違いなかったが、TTが強いこと以外わからなかった。ジュニア時代に2年連続で国内TTチャンピオンとなっている。

 

僕がこの選手を覚えるきっかけは、というかロードレースファンがこの選手を認識したきっかけは、今年のツールドラプロヴァンスのモンヴァントゥステージでの圧倒的な牽引だと思う。ダンバーが逃げを全員捕まえると同時に仕事を終えると、ロドリゲスに牽引役をスイッチし、残り4.8キロ程度まで約3キロに渡って集団を引っ張り続けた。大きかった集団を15人ほどにまで小さくしたその牽引で、ルツェンコやバルギル、ヘイグといった一流のクライマーたちすらついていくことが出来なくなっていた。その後はベルナルとソーサという2人のエースが見事なコンビネーションを発揮し、しっかりとワンツーフィニッシュ、そのまま総合優勝を果たした。

 

クラシックのアタック合戦でもベルナルやダンバーと共にマークを続け、先頭で自身がアタックする場面も見られた。今後はアシストとして経験を積みつつ、グランツールのエース候補として育てていくのだろう。

 

5.Ehtan Hayter

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 対するこちらは期待の若手の中でも実績十分すぎる選手である。このチームの王道であるトラック出身で、トラックでは既に大成功を収めている。若手登竜門のラブニールやベイビージロのスプリントステージで勝利を量産した。それだけでなく、TTの強さも折り紙付きで、登りを含む10キロのTTでガンナから21秒遅れの3位に入賞している。これは総合逆転を狙って本気だったクヴィアトコウスキーよりも早いタイムである。

 

オープニングウィークエンドではヘイタ―での必勝態勢を構築していながら落車に巻き込まれ、そのスプリントを拝むことは出来なかったが、既にプロでも1勝しており、将来が楽しみである。イケメンやし。登りや長距離の牽引もある程度こなせるこの英国人はスプリンターに冷たいこのチームでもしっかりと居場所を見つけるだろう。ジロやブエルタでINEOSがスプリントステージを制する日もそう遠くないのではないか。

 

6.Tom Pidcock

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 こちらも同じく超期待の新人でヘイタ―の旧友だが、こちらの実績はさらに格が2つも3つも違う。自転車の名を冠するスポーツでチャンピオンになっていないものを探す方が難しいような、自転車の天才である。軽く実績をあげると、ジュニアのTT世界チャンピオン、ベイビージロやパリルーベ総合優勝、シクロU23世界チャンピオンのみならずプロでもマチューを打ち負かしている。さらにはマウンテンバイクやEバイクでもチャンピオンになっている。

 

マジの規格外である。ガンナのTT能力も、エヴェネプールの快進撃もバケモンじみたものを感じるが、彼の可能性にも同様のものを感じる。既にプロのレベルには慣れ、自信を得ることが出来たとの発言があり、クールネブリュッセルクールネでは表彰台に乗っている。シクロの経験から未舗装路や石畳の適性は抜群であり、既にストラデビアンケではベルナルと共にエースとして走る予定である。

 

さらに、ベルナル、トーマス、カラパス、ゲーガンハートといったグランツール覇者がどのグランツールでエースを務めるのかの発表と同時にピドコックのブエルタ参戦が発表された。つまり、既にグランツール覇者待遇である。ワウトやマチューがロードレースを席巻しているように、この男がいきなりロードレース界を驚愕させるかもしれない。

 

ちなみに、グランツールエースとしての将来を期待されている選手がスプリントで前世界チャンピオンのピーダスンやテュルギスに次ぐ3位になったことに関しては最早何の驚きもなかった。ブリティッシュチームでU23を転戦していた時にヘイタ―とのワンツーを量産していたから当然だ。ブエルタのような仕組みであれば、4賞ジャージを独占することもおかしくないのではないだろうか。

 

ヘイタ―とピドコックは互いの信頼感も厚く、このコンビネーションを見るのが楽しみである。ナルバエス、ガンナとともにクヴィアトの次を担うクラシック戦線のエースとなるだろう。これまでワンデーレースをあまり見ないのは牽制などが起こりすぎてしまうからだったが、彼らのアグレッシブな姿勢は、とてもレースを面白くしてくれる。今年はロードレースの楽しみがいっぱい増えそうである。